お子さんが不登校になったとき、多くの母親が「自分が原因なのでは」と悩み、心を痛めることがあります。
不登校の原因が母親に関連するケースは決して珍しいものではなく、そこにはさまざまな背景や接し方のパターンが隠れています。
ですが、「不登校=母親の責任」と決めつけてしまうのは早計です。
本記事では、不登校の原因が母親に起因する場合の特徴や、子どもに現れやすいサイン、さらに母親以外の要因や誤解されやすいポイントについてわかりやすく解説します。
「自分に何ができるのだろう」と悩むお母さんへ、前向きなヒントと具体的な対応策をお届けします。
不登校の原因が母親に関連すると考えられるパターン

不登校の背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っていますが、家庭環境、とくに母親との関係が影響するケースも少なくありません。
母親の接し方や家庭内の雰囲気が子どもの心に与える影響は想像以上に大きく、時には学校に行く意欲や安心感に関わってくることもあります。
以下では、母親に関連すると考えられる不登校の原因について詳しく見ていきます。
過保護・過干渉な対応
母親が子どもをあまりに心配しすぎたり、細かなことまで口出しをしたりする過保護・過干渉な対応は、子どもが自分自身で判断をする機会や自己決定感を失わせることにつながります。
これによって子どもは自信を持てなかったり、周囲への適応を難しく感じたりするようになります。
日常の生活の中で、次のような行動が見られる場合は注意が必要です。
- 学校生活の些細なことまで指示する
- 友人関係や遊び内容にも細かく干渉する
- 子どもが自分でやろうとすることを先にやってしまう
過度な期待やプレッシャー
子どもの成績や将来に対して高い理想を持つのは悪いことではありませんが、度を越した期待やプレッシャーをかけ続けると、子どもは自分を追い詰めてしまうことがあります。
母親が「もっと頑張りなさい」「○○できて当然」という思いを言葉や態度で表すと、子どもは期待に応えたい気持ちと不安が混ざり合い、心身に大きな負担を感じてしまいます。
特に思春期の子どもには、成長過程での敏感な心を大切にする配慮が求められます。
厳しすぎるしつけや管理
ルールやしつけを重視することは大切ですが、あまりにも厳格すぎると、子どもの自立心や安心感を奪ってしまいます。
決められたことに従わせるばかりだと、自由に考える余裕や自分のペースを持つことができなくなります。
しつけや管理の例 | 子どもへの影響 |
---|---|
門限の設定が過度に厳しい | 自主性の喪失・窮屈な思い |
失敗や間違いを強く責める | 失敗への恐怖・挑戦心の低下 |
日々の予定をすべて母親が決定する | 自分の考えを持てない |
共感やコミュニケーション不足
日常会話の中で子どもの気持ちをじっくり聞いたり、共感したりすることが少ないと、子どもは「自分の気持ちをわかってもらえない」と感じやすくなります。
その結果、家庭内で安心して過ごせなくなったり、悩みを一人で抱え込みやすくなります。
子どもが自分の感情を表現しにくくなり、孤独感や疎外感も生じることから、不登校のきっかけになることがあります。
世間体や周囲への配慮の強さ
母親が世間体やママ友、親族、学校関係者など周囲の目を気にしすぎる場合、子どもにも「他人の評価を気にしなさい」といった価値観が伝わります。
これにより子どもは自分の気持ちよりも“どう見られるか”を優先し、素直な心を押し殺すことがあります。
その結果、学校生活へのプレッシャーが高まり、登校への不安や苦痛に発展することも考えられます。
母親自身のストレスや不安
母親が家庭や仕事のストレス、不安を感じていると、その気持ちは知らず知らずのうちに子どもにも伝わります。
母親の表情や態度が常に緊張していると、子どもも安心できず、居心地の悪さや心配を感じることがあります。
家族の雰囲気が良くないと、子どもは家でもリラックスできず、不登校の一因となる場合があります。
母親の愛情表現の偏りや不足
愛情をかけているつもりでも、表現方法が偏っていたり、十分に伝わっていなかったりすると、子どもは寂しさを感じることがあります。
例えば、言葉で「大丈夫」と伝える機会が少ない、一方で叱ることが多い、身体的なスキンシップが少ないなど、愛情の伝わり方に差が出る場合があります。
十分に受け止めてもらえないと感じると、子どもは自分の存在価値に疑問を持ちやすくなり、登校意欲の低下につながることがあります。
母親が要因となりやすい子どもの特徴

不登校にはさまざまな原因がありますが、母親との関係が影響をもたらす場合があります。
ここでは、母親が要因となりやすい子どもの主な特徴を紹介します。
自己解決能力の低さ
子どもが自分で問題を解決する力が育ちにくい場合、困難にぶつかったときにすぐに諦めてしまう傾向が見られます。
これは日常の小さな問題にも自分で挑戦せず、すぐに母親に頼る習慣ができてしまったことが要因になることがあります。
結果として、学校でのトラブルや勉強の壁に直面した際、逃げ道として不登校を選ぶケースもあります。
親離れの遅れ・甘え
母親との距離が近すぎると、自立に必要な経験を積む機会を失いやすいです。
- 生活のほとんどに母親が関与してしまう
- 失敗やチャレンジよりも、安全を最優先する
- 子どもが自分で物事を決断する場面が少ない
このような状況では、子どもが集団生活に適応できず、不登校に発展してしまうことがあります。
自己肯定感の低下
母親から否定的な言葉を頻繁に浴びせられたり、過度な期待をかけられたりすると、子どもは自己肯定感が低下しやすくなります。
「どうせ自分はできない」「がんばっても怒られる」といった気持ちが強まり、学校に行く自信を失ってしまいます。
要因 | 子どもの反応 |
---|---|
否定的な言動 | 自分に自信が持てなくなる |
過干渉・過期待 | 「どうせ無理」と思う |
コミュニケーション力の不足
母親が子どもの代わりに人間関係を調整したり、意見を代弁したりすることが習慣化すると、子ども自身のコミュニケーション力が育ちにくくなります。
その結果、学校で友達を作ったり先生と上手に話したりすることが苦手になり、孤立感や疎外感から不登校へつながることがあります。
ストレスの抱え込み
母親の期待が大きすぎたり、怒られることを恐れたりすると、子どもは自分の気持ちを我慢して溜めこむようになります。
本来なら周囲に相談したり、SOSを出したりできる場面でも弱音を吐けず、心のストレスがどんどん積み重なってしまいます。
その結果、登校へのハードルが高く感じられ、不登校という形で表れることがあります。
不登校の原因が母親以外にある場合

不登校の理由は一つだけで決まるものではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。
母親以外の影響によって不登校になるケースも多いため、原因を幅広く考えることが大切です。
次に、母親以外の主な原因について紹介します。
いじめや同級生との人間関係
子供たちの学校生活のなかで、いじめや仲間外れといった人間関係の問題は大きなストレスとなります。
自分の意見が言えなかったり、集団に馴染めなかったりすることも原因になります。
- いじめやからかい
- グループ内での孤立
- 友達とのトラブル
- 自分の居場所がないと感じる
このような人間関係による悩みは、子供の心を大きく傷つけ、不登校の引き金になることがあります。
学校環境や教師との相性
学校そのものの雰囲気や規則が合わない場合や、教師との信頼関係が築けなかったことも理由のひとつです。
クラス替えや担当教師の変更など、環境の変化に子供が適応できず苦しむこともあります。
原因 | 具体例 |
---|---|
学校の雰囲気 | 校則が厳しすぎる、騒がしいクラス |
教師との相性 | 教師の指導方法が合わない、信頼できないと感じる |
学校全体や教職員との関係も子供の居心地に大きく影響します。
家庭内不和や父親の不在
家庭の中での会話が少なかったり、両親の不仲や離婚など、家庭環境の変化も子供にとって大きなストレスになります。
父親が単身赴任や離婚などで不在が続いた場合、子供が家で安心して過ごせず、気持ちが不安定になることも考えられます。
母親だけでなく家庭全体の雰囲気が、子供の心の健康に強い影響を与えることを理解しましょう。
発達特性や体調不良
発達障害やグレーゾーンと呼ばれる発達特性を持つ子供は、学校生活への適応が難しいことがあります。
また、慢性的な体調不良や原因不明の腹痛・頭痛が続き不登校になる場合もあります。
体調や発達の特性に早く気づいて適切なサポートを行うことが重要です。
急激な環境変化やストレス
引越しや転校、家族構成の変化など、子供の周りの環境が急に変わったとき、大きな不安やストレスが生じることがあります。
友人との別れや新しい生活への順応の難しさも、不登校の要因となることがあります。
子供の気持ちに寄り添い、少しずつ新しい環境に慣れていけるようサポートすることが大切です。
母親が原因と感じたときの具体的な対応方法

お子さんの不登校が「母親の自分に原因があるのでは」と悩んでしまう方は多いものです。
実際にはさまざまな要素が絡み合っているケースがほとんどですが、自分にできることから一歩ずつ見直していくことが大切です。
自分の関わり方を見直す
まずは、今までのお子さんとの関わり方を振り返ってみましょう。
「勉強しなさい」「早くしなさい」など、つい口うるさくなりすぎていなかったかを考えてみることも大切です。
お子さんにどう接してきたか、思い返したメモを取るのも良いでしょう。
見直すポイント | 具体例 |
---|---|
声かけの内容 | 命令口調が多くなかったか |
接する時間 | 忙しくて会話が少なかったか |
期待のかけ方 | 高すぎる目標を求めていなかったか |
小さなことでも「変えてみよう」と意識する姿勢が、次のステップにつながります。
率直に謝罪や気持ちを伝える
もし、自分の言動でお子さんを傷つけたかもしれないと気づいたときは、無理をせず素直な気持ちを伝えてみてください。
謝る勇気を持つことで、親子の間にあたたかな変化が訪れることがあります。
- 「今まで気付かずごめんね」と伝える
- 「あなたのことを本当に大切に思っている」と言葉にする
- 「何があっても味方でいたい」と伝える
お子さんは、謝罪や思いを伝える姿に安心感や信頼を持つようになります。
子どもの話をよく聞く・共感する
お子さんがどんな気持ちでいるのか、どんなことに悩んでいるのかを受け止めることが大切です。
否定せず、うなずきながら「そうだったんだね」と共感的に耳を傾けましょう。
無理に意見や解決策を押し付けるのではなく、まずは話にじっくり付き合うことが信頼関係の回復につながります。
信頼できる人や専門家に相談する
一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ることも大切です。
学校のスクールカウンセラーや自治体の相談窓口、家族やママ友など、信頼できる相手に悩みを話しましょう。
専門家に相談することで、視野が広がり、子どもとの接し方について具体的なアドバイスを得られます。
家庭環境を整える・リラックスできる場を作る
子どもが安心して過ごせる家庭環境を整えることも大切です。
家の中でリラックスできる空間づくりや、イライラを減らす努力も見直しましょう。
例えば、笑顔で朝食を囲む、ゆったりと会話する時間を持つ、子どもが好きなものを一緒に楽しむなど、小さな工夫が心を和らげます。
不登校と母親の関係でよくある誤解

不登校が話題になると、母親との関係が注目されることが多くあります。
しかし、実際にはさまざまな要因が複雑に絡み合っており、単純に母親だけが問題の根源というわけではありません。
誤解にとらわれず、正しい視点で原因を考えることが大切です。
母親が唯一の原因だと捉えてしまう
不登校になると、「母親の育て方が原因ではないか」と考えてしまうケースが多く見受けられます。
しかし、学校での人間関係や、学業のプレッシャー、本人の性格や体質、家庭環境など、要因は多岐にわたります。
母親だけでなく、家族全体の環境や外部の影響も大きく関係しています。
- 学校でのいじめや友人関係
- 学習や進路への不安
- 生活リズムや健康の問題
- 父親や兄弟姉妹との関わり
このように、不登校の原因は一つに決めつけられません。
母親だけが責任を背負うべきという思い込み
「子どもが不登校になるのは母親のせい」と周囲から言われたり、自分自身でもそう思い込んでしまう母親が少なくありません。
しかし、不登校は家族全体や社会、学校など多方面が影響して起きるものです。
母親ひとりに責任を押し付けてしまうと、母親自身が過度なプレッシャーを感じ精神的負担が増します。
家族みんなで対話しながら協力して問題に向き合うことが重要です。
原因の例 | 関わる人 |
---|---|
学校でのいじめ | 友人、先生 |
家庭内の雰囲気 | 母親、父親、兄弟 |
本人の体質・性格 | 本人 |
子どもへの愛情不足と断定する考え
不登校の背景には親子関係があることもありますが、「母親の愛情が足りないから」と決めつけてしまうのは大きな誤解です。
むしろ、愛情深く接していても不登校になるケースは多く存在します。
子ども本人が感じているストレスや悩み、学校や社会の環境変化など、愛情とは無関係の要因も関わります。
大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、無理に結論づけないことです。
母親の努力だけで全て解決できるという誤認
苦しむ子どもを前に「母親がもっと頑張れば解決する」と考え、無理に努力しすぎてしまう方もいます。
しかし、不登校は一人の親だけの努力で簡単に解決できる問題ではありません。
学校や専門機関、家族全体の協力が必要となる場合も多いです。
母親が無理を続けてしまうと、かえって家庭全体が疲弊してしまうこともあります。
必要に応じて第三者のサポートを利用し、みんなで取り組んでいくことが大切です。
不登校の原因をめぐって母親が気をつけたいこと

子どもが不登校になると、つい「母親の接し方が悪かったのでは」と考えてしまいがちです。
しかし、不登校の原因は一つだけではなく、さまざまな要素が複雑に関係しています。
母親自身が自分を責めすぎることなく、前向きに子どもと向き合うために、心がけたいポイントを紹介します。
自身の心身のケア
子どもの不登校に悩むと、どうしても母親自身が心身ともに疲れてしまいがちです。
まずはしっかりと睡眠や食事をとるなど、生活リズムを整えることが大切です。
また、一息つける時間や趣味の時間をほんの少し意識的に持つだけでも、気持ちに余裕が生まれます。
自分のケアをおろそかにせず、心が疲れてしまったときは無理せず休むことも大切です。
ケアのポイント | 具体例 |
---|---|
しっかり休む | 睡眠を十分にとる |
気分転換 | 散歩や読書を楽しむ |
相談する | 友人や専門家に話す |
周囲のプレッシャーとの距離の取り方
「なぜ学校に行かせないの?」といった周囲の声や、親族からの期待やプレッシャーに悩むことも多いでしょう。
他人の意見に振り回されすぎると、ますます自分を責めてしまう原因になります。
- 無理に完璧を目指さず、自分なりのペースで子どもに向き合う
- 周囲の意見は参考程度に受け取り、必要以上に気にしすぎない
- 信頼できる人や専門家に相談し、自分に合った対処方法を選ぶ
時には距離をとる勇気も必要です。
家庭内コミュニケーションの意識
家の中での会話が減ると、子どもも孤独を感じやすくなります。
「話さなければ」と気負うのではなく、日々のちょっとした会話や、子どもの話にじっくり耳を傾けることを心がけましょう。
気持ちのやりとりが大切なので、必ずしも問題解決を急ぐ必要はありません。
普段通りの挨拶や、おやつを一緒に食べるだけでも十分です。
一人で抱え込まない姿勢
母親はつい、自分一人で解決しなければと頑張りすぎてしまうことがあります。
でも、無理に全部背負い込まず、家族や外部のサポートを上手に頼ることも大切です。
地域の相談窓口や学校の相談員、専門家に相談することもひとつの方法です。
自分の気持ちを誰かに話すだけでも、心の負担がやわらぎます。
子どもの未来をひらくために母親ができること

不登校の子どもが前向きに未来を歩むためには、家庭での母親のかかわりがとても大きな役割を果たします。
まずは、子どもが安心して過ごせる家庭の雰囲気づくりが大切です。
どんなときも子どもの気持ちに寄り添い、否定せず受け止めることで、子どもは「自分は大切にされている」と実感できるようになります。
また、無理に学校へ行かせようとするのではなく、子どもの話をよく聞いてあげることが重要です。
子どもは話を聞いてもらうことで気持ちが落ち着き、自分のペースで前向きになるチャンスをつかみやすくなります。
日々の生活の中で小さな変化や成長を見逃さず、しっかり認めてあげましょう。
母親自身も一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用することが大切です。
市区町村の相談窓口や専門機関、同じ悩みを持つ保護者の会などを利用して、気持ちをシェアできる場所を見つけましょう。
子どもの未来は、一歩一歩の積み重ねから築かれます。
母親が子どもの味方でいることが、何よりも大きな支えとなります。