発達障害の子どもが絵本を読まない理由と親ができる対応|無理せず楽しめるアプローチとおすすめ絵本を徹底解説

新緑のイチョウの葉と木漏れ日
発達障害

「発達障害の子どもが絵本を読まないのは自分のせいかもしれない」と悩んでいませんか。

実は、発達障害の子どもたちが絵本に興味を示さない背景には、感覚の違いや発達段階に特有の理由があります。

親としてどのように対応すればよいのか、何を大切に絵本を選べばよいのか、適切なアプローチを知ることで安心につなげられます。

この記事では発達障害のお子さんが絵本を読まない理由や、親ができるサポート、絵本選びや接し方の工夫まで、具体的にわかりやすく解説します。

お子さんの個性を大切にしながら言葉やコミュニケーション力を育てていくヒントをぜひご覧ください。

発達障害の子どもが絵本を読まない理由と親ができる対応

青空と広い芝生と森の風景

発達障害のある子どもが絵本を読まないと、親御さんの中には心配や戸惑いを感じる方も少なくありません。

その背景にはさまざまな理由があり、無理に絵本を読ませようとすると、かえって絵本や読み聞かせ自体が苦手になってしまう場合もあります。

子ども一人ひとりの特性を理解し、適切に対応することが大切です。

感覚過敏や感覚鈍麻

発達障害の子どもには、視覚や聴覚、触覚などの感覚が敏感な「感覚過敏」や、逆にあまり刺激を感じにくい「感覚鈍麻」がみられることがあります。

色使いの鮮やかさや紙の手触り、ページをめくる音が強い刺激となり、絵本自体を避けてしまうケースもあります。

また、においやインクの匂いが気になって集中できない場合もみられます。

これらの感覚の違いを理解し、子どもが心地よい環境で絵本に触れられるよう工夫が必要です。

興味関心の偏り

発達障害の子どもは、自分の好きなものや興味のある分野に強いこだわりを持つことがあります。

一般的な絵本よりも、乗り物や動物、地図など特定のジャンルに夢中になる子もいます。

興味がある内容であれば集中して読んだり、何度も同じページを見たりすることがあります。

  • 特定のキャラクターや物語にしか反応しない
  • 図鑑や写真集など事実が中心の本を好む
  • 読み物よりもイラストや写真だけを眺めるのが好き

子どもの興味に寄り添った絵本や図鑑を選ぶことで、自然と本に親しむ機会が増えます。

言葉やストーリーの理解の難しさ

発達障害の特性のひとつに、言葉の発達の遅れや会話の理解が苦手な場合があります。

ストーリーを順序立てて理解したり、登場人物の感情の変化を読み取ったりすることが難しいケースも見られます。

子どもの困りごと 適した対応例
文章を聞いても意味がわからない イラスト中心の本や、短い文の絵本を選ぶ
物語の流れを把握しづらい 一緒に絵を指さしながら読み進める
難しい言葉に戸惑う 内容をかみくだいて説明する

理解しやすい内容や構造のシンプルな絵本を選ぶことや、無理なく子どものペースに合わせて説明してあげることが大切です。

集中力の持続が困難

発達障害のある子どもは、じっと座って話を聞いたり、ひとつのことに集中し続けたりするのが難しい場合があります。

長い絵本や複雑なストーリーに途中で飽きてしまったり、ページをパラパラめくって話を最後まで聞けないこともよくあります。

そのような場合は、短い絵本やページ数の少ないものを選んだり、一度に全部読まず興味が続く範囲で区切りながら読み進めたりするのもおすすめです。

また、読み聞かせの時間を無理に長くせず、子どもが関心を持ったタイミングを大切にしましょう。

読み聞かせに抵抗感が生じるケース

過去に読み聞かせで失敗した経験や、周囲から「静かにしなさい」と注意されたことがトラウマになり、読み聞かせ自体に苦手意識を持ってしまう子どももいます。

また、他の兄弟と比べられたり、できないことを指摘されたりすると、さらに抵抗感が強くなることもあります。

子どもの気持ちに寄り添い、無理強いせず、成功体験を積ませることが大切です。

自分のペースへのこだわり

発達障害の子どもは「自分のやりたいこと」や「決まった手順」に強いこだわりを持つことがあります。

絵本の読む順番を変えたがらなかったり、お気に入りのページばかりを開きたがることもよく見られます。

その場合は、子どものペースややり方を最大限尊重してあげるのが大切です。

無理に最初から最後まで読もうとせず、「今日はどのページを見たい?」など子どもが主体的に決められる工夫をしましょう。

発達障害がある子どものための絵本選びのポイント

青空と若葉と木の枝

発達障害がある子どもが絵本を読まないと感じた時に、絵本選びを見直すことはとても大切です。

子どもの特性や興味に合わせて、本の内容や表現方法を工夫することで、絵本の世界を一緒に楽しむことができるようになります。

それぞれの子どもにぴったり合う一冊を見つけるために、いくつかのポイントを参考にしましょう。

シンプルな内容の絵本

発達障害がある子どもには、ストーリーや表現が複雑な絵本よりも、シンプルで分かりやすい内容の絵本がおすすめです。

場面転換が少なく、登場人物がはっきりしているものは、内容を理解しやすく安心して読めます。

短い文章や繰り返しが多い構成だと、「読むこと」へのハードルが下がります。

  • 登場人物が少ないもの
  • 一場面ごとに1つの出来事が描かれているもの
  • 日常生活のワンシーンを切り取った本
  • 文章が短く要点が明確な本

まずは「理解できる」「面白い」と感じる体験を大切にしましょう。

視覚的に特徴がある絵本

発達障害がある子どもの中には、視覚的な刺激に興味を持つタイプも多いです。

はっきりした色使い、大きなイラスト、余白がしっかりあるレイアウトの絵本だと注目しやすくなります。

また、視覚情報が整理されている絵本は、情報の認知や理解にもつながります。

特徴 効果
カラフルな色使い 見て楽しい・興味を引きやすい
イラストが大きい 情報の整理がしやすい
余白が多い 視覚的な負担が少ない

絵を見る楽しさを通して、話の世界に自然と入れるように工夫された本はおすすめです。

繰り返しの多い絵本

内容の繰り返しが多い絵本は、発達障害のある子どもが安心して読み進めやすいだけでなく、言葉やフレーズを自然に覚える助けにもなります。

同じパターンが続くことで次の展開が予測しやすくなり、不安や緊張感を和らげる効果があります。

また、親子で一緒に同じフレーズを読んだり、繰り返される場面に参加することで、やりとりやコミュニケーションのきっかけづくりにも役立ちます。

擬音語やリズムのある絵本

リズミカルな言葉や擬音語がたくさん使われている絵本は、発達障害のある子どもにも親しみやすいです。

「どしーん」「ぱたぱた」などの音が楽しい絵本は、読み聞かせる大人も自然と声のトーンを変えたり、動作をまねしたりしやすくなります。

歌うように読んだり、一緒に体を動かしたりすれば、絵本の時間がより楽しいものになります。

言葉のリズムや音に反応して、自然と「読んでみたい」「もっと聞きたい」という気持ちが芽生えやすくなります。

絵本を読まない発達障害の子どもへの接し方

青空と若葉と木の枝

発達障害の子どもが絵本を読まない場合、無理に本を読ませようとするのではなく、その子の個性や興味に寄り添うことが大切です。

「絵本を読まなければならない」と大人が意識しすぎると、お子さんにとって絵本が苦手なもの、楽しくないものになってしまうことがあります。

まずは安心できる関係と環境を作りながら、自然に本や言葉に触れる時間を増やしていくことを意識しましょう。

無理に読ませようとしない環境づくり

無理に絵本を読ませようとすると、子どもはプレッシャーを感じてしまい、ますます本から遠ざかってしまうことがあります。

読み聞かせは「必ずしなければならない」と考えるのではなく、親子でリラックスできる時間に少しずつ取り入れてみましょう。

子どもが興味を示さなかったり、途中で席を立ってしまっても、叱ったり注意したりせず、子どものペースを尊重することが大切です。

寝る前など決まった時間に読まなければならない、と決めず、気が向いたときに自由に本を手に取れる雰囲気を作ることがポイントです。

  • リビングや子ども部屋の目につきやすい場所に絵本をおいておく
  • 読まなくても、本をめくるだけでもOKという雰囲気を大切にする
  • 親御さん自身が本を読む姿を自然に見せる

興味や好きなものを優先する

発達障害を持つ子どもは、それぞれ独特の興味やこだわりがあります。

絵本を選ぶときは、子どもの好きなものや関心のあるテーマを優先してあげることで、「読んでみたい」という気持ちが生まれやすくなります。

例えば、電車や車が大好きな子には乗り物が登場する絵本、動物が好きな子には動物が描かれたものがおすすめです。

興味・関心 おすすめの絵本
車や電車が好き のりもの絵本、働く車シリーズなど
動物が好き 動物が主人公のストーリー絵本
食べ物が好き 食べ物をテーマにした絵本や図鑑
音やリズムが好き 音が出る絵本、ことば遊び絵本

好きなキャラクターや、触って楽しめる絵本など、子どもの「これがいい!」という気持ちをできるだけ優先して選びましょう。

遊びや他の活動から言葉に触れる

絵本だけにこだわらず、遊びや日常生活の中で自然に言葉に触れられる機会を増やすことができます。

例えばおままごとをしながら会話を楽しんだり、お絵描きや歌遊びの中で単語や表現に親しむことができます。

クッキー作りやブロック遊びなど、お子さんが好きな活動に言葉かけを取り入れることで、無理なく語彙や表現を広げていくことができます。

また、外出先で見つけたものについて話し合ったり、買い物中に「これはなあに?」とやりとりするのも効果的です。

短い時間や分割して楽しむ工夫

長いお話を一度に集中して聞くことが難しい場合は、短いお話を選ぶ、あるいは1冊を数回に分けて読むなどの工夫をしましょう。

その日の気分や集中力に合わせて、無理なく取り組むことが続けるコツです。

また、同じ話を何回も読むのが好きな場合、繰り返し読むことで安心感が生まれ、理解も深まります。

絵本のどの部分を読んでもかまわない、途中から始めてもOK、という柔軟なスタンスを持つことで、子どもの「読書」への壁を下げることができます。

少しずつ「楽しいかも」と思ってもらえる体験を積み重ねていきましょう。

絵本以外で言葉やコミュニケーション力を育てる方法

青空と木々が並ぶ公園の芝生広場

発達障害のあるお子さんは、絵本を読むことにあまり関心を示さない場合があります。

しかし、言葉やコミュニケーション力を伸ばす方法は絵本以外にもたくさんあります。

子ども一人ひとりの興味や特性に合わせて、さまざまなアプローチを試してみることが大切です。

音楽や歌遊び

音楽や歌遊びは、自然と言葉やリズムに触れられるので、コミュニケーション力を育てるのにとても有効です。

特に手あそび歌や簡単な振り付けのある歌は、体の動きと一緒に言葉を覚える助けとなります。

音楽を使うことで、言葉の繰り返しや発音を楽しみながら身につけることができます。

  • 童謡や手あそび歌を家族で歌う
  • 好きな音楽に合わせて身体を動かす
  • リズムに合わせて声を出すことを楽しむ

家族やお友達と一緒に歌いながら遊ぶことで、自然にコミュニケーションの力も育まれます。

身近な物や写真カードの活用

日常生活の中で身近な物や写真カードを使うことも、言葉やコミュニケーション力の発達に役立ちます。

視覚的に分かりやすいものを使うことで、言葉とイメージが結びつきやすくなります。

アイテム 活用方法
お気に入りのおもちゃ 名前を言いながら手渡し遊び
食べ物カード 実物と照らし合わせて言葉を覚える
家族写真 「これは誰?」と会話を促す

このようなアイテムを利用すると、日常の会話が増え、子どもの語彙も広がります。

動画や音声絵本の導入

最近では、動画や音声付きの絵本も人気があります。

視覚や聴覚を使いながら物語を楽しむことで、言葉の意味やストーリーを理解しやすくなります。

特にお子さんが画面映像や音に興味を持ちやすい場合は、積極的に活用してみるのもおすすめです。

動画や音声の絵本を使う際は、親子で感想を話し合うと、やりとりの幅も広がります。

おすすめできる絵本の特徴と例

青空と新緑の木々と雲

発達障害のあるお子さんが絵本をなかなか読まない場合でも、選び方やアプローチ次第で絵本時間が楽しいものに変わります。

絵本の特徴や工夫を知ることで、お子さんが興味を持ちやすい絵本を見つけやすくなります。

絵本のサイズや使用感の配慮

発達障害のお子さんの中には、感覚が過敏だったり鈍感だったりする場合があります。

絵本のサイズが小さすぎるとページめくりが難しいことがありますし、大きすぎると持ちづらいこともあります。

また、紙が分厚いボードブックタイプは破れにくく、めくりやすいのが特徴です。

布絵本やシリコン絵本のような柔らかい素材は手ざわりもよく、安心して扱えるため、感覚に配慮されている絵本として好まれることがあります。

安全性にも配慮されているものだと、親御さんも安心して渡せます。

絵本の種類 メリット おすすめ例
ボードブック 丈夫でめくりやすい 「だるまさんが」
布絵本 手ざわりが優しい、安全性高い 「いないいないばあ」(布絵本版)
しかけ絵本 触ったり動かしたりできる 「とびだす!うごく!どうぶつえほん」

参加型やしかけ絵本

ページをめくるだけでなく、指を使って穴をなぞったり、仕掛けを動かして遊べる絵本は興味を引きやすいです。

音が鳴るボタンや、絵の一部が動くしかけ、また塗り絵要素があるものなど「自分で操作できる」楽しさがあるのがポイントです。

ストーリーを読むだけよりも、「どこを触ってみよう」「何が隠れているかな」といった体験ができることで、絵本にふれるハードルが下がります。

  • 穴あきしかけで指を通して遊べる絵本
  • 音が鳴る絵本やライト付き絵本
  • シール貼りやめくる遊びのある参加型絵本
  • パペットやぬいぐるみ付きの絵本

こうした種類の絵本は、遊びながら自然と本に親しめるきっかけになるでしょう。

発達段階に合わせやすい絵本タイトル

発達障害があると、年齢とは異なる発達段階に合わせて本を選ぶことが大切です。

シンプルな絵と短い言葉の絵本や、リズムのあるフレーズが繰り返される絵本は、言葉への興味が出始めた時期にぴったりです。

もう少し理解力や想像力が伸びてきたら、シリーズ物などでお気に入りキャラクターの絵本を選んだり、擬音語や問いかけが多い絵本でやりとりを楽しむこともおすすめです。

発達段階ごとのおすすめ絵本には、次のようなものがあります。

段階 おすすめ絵本タイトル 特徴・内容
初めての絵本 「じゃあじゃあびりびり」 短いフレーズ、はっきりした絵
くり返し表現が楽しい段階 「だるまさんが」シリーズ リズム感と繰り返し、動きが楽しい
参加・やりとりを楽しむ段階 「もこ もこもこ」 言葉遊び、自由な想像ができる
お気に入りキャラクターを持つ段階 「ノンタン」シリーズ 身近な体験とキャラクターへの親しみ

お子さんの反応をよく観察しながら、その時々の興味や発達に合わせて柔軟に絵本を選ぶことがポイントです。

親が焦らず長い目で見守る重要性

青空と日差しと青モミジの枝

発達障害を持つお子さんが絵本を読まないと、不安になる親御さんも多いかもしれません。

しかし、子ども一人ひとりの発達のペースは異なり、無理に読ませようとすると逆効果になることもあります。

周りの子と比べて焦って行動したくなる気持ちもわかりますが、お子さんの成長は個性とともにゆっくりと進んでいくものです。

まずは、お子さんの「今」に寄り添い、少しずつ興味が持てるようなきっかけを探していく姿勢が大切です。

絵本に興味を持たない時期が続いても、それは珍しいことではありません。

親がリラックスして絵本を楽しんでいる姿を見せるだけでも、子どもにとって安心材料となります。

長い目で見守ることで、やがて自分のペースで本に関心を持つ日がやってくるかもしれません。

焦らずに、穏やかな気持ちでお子さんの成長を見守っていきましょう。

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